今年は「サスペンス映画の神様」ヒッチコック監督の没後30年だそうで、先日NHK−BSで
何作かが 放映されていました。
彼について書かれたものを読むと、例えば「ヒロインにミルクが運ばれてくる。そこに毒が
入っているのでは、と観客に思わせるために、そのミルクの中に電球をしのばせて撮影
した。」などとあります。
これは白黒映画での話です。言葉では何も説明・指示されていないのに、観客の目は
薄暗い室内で 白く輝くミルクに釘づけになり、疑惑が生じ、サスペンスが高まるわけです。
そのとき、観客はなぜミルクに目がいってしまうのか、なぜ疑惑が生じたのか、はっきり
とは意識できず、自然にハラハラドキドキしたとしか思わない。「電球をしのばせる」とい
う単純で器械的な作業がそのような効果を生んでいるのです。
最近のCGや3Dも良いけれど、昔の職人技にも色あせないものを感じます。